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此ノ中に、故ノ字は、上卷ノ歌に故志能久邇(コシノクニ)と、只一ツあるのみなり。
文(コトバ)には高志(コシ)と書り。
胡ノ字は、中卷白檮原ノ宮ノ段に、盈々志夜胡志夜(エヽシヤコシヤ)、二ツあり。
下卷甕栗ノ宮ノ段ノ歌に、宇良胡本斯(ウラコホシ)、これのみなり。
去ノ字は、白檮原ノ宮ノ段に、志祁去岐(シケコキ)とあるのみなり。
もしは古ノ字を誤れるには非るにや。
高ノ字は、地名高志(コシ)と、人ノ名高目郎女丸高王(コムクノイラツメマロコノミコ)と、これらのみなり。
碁ノ字は、或は基ノ字に作(カケ)る處もあり。是レは本より二ツかとも思はるれど、諸本互(タガヒ)に異(コト)にして、定まれざれば、本は一ツなりけむが、誤りて
二ツにはなれるなり。かくて何(イヅ)れを正(タヾ)しとも、今言(イヒ)がたけれど
も、姑(シバラ)く多き方に定めて、基をば誤リとしつ。
其ノ字は、上卷ノ歌に只一ツあるのみなり。その同言の、前後に多くあるは、みな
碁基ノ字を書たれば、是レはたその字の誤リにこそあらめ。
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若松 久仁光
2013-08-01