Gaspard de la Nuit


スカルボ

寝台の下、暖炉の中、
櫃の中を見た。....が誰もいない。
彼には理解できなかった。
奴が何処から入り、何処から出ていったのか。
           ホフマン『夜の物語』 



 ああ!スカルボ、幾度お前の声を聞き、お前を見たことか!
あたりは紺青の旗の上黄金の蜂をまき散らしたような 真夜中
月が 銀の楯の如く輝くその時 !


 閨房の陰であざ笑う声、寝台の絹のカーテンを爪でひっかく音を
私は幾度聞いたことか!
 
 幾度私は小人が天井から降り、魔女の糸巻棒から落ちた糸巻きのように、
片足で旋回し、部屋の中を転がるのを見たことか!

 消えうせたと思いきや、三角帽子の先 金の鈴はまるで
ゴシック風カテドラルの鐘のように大きく揺れ 、奴は月と私の間に
みるみる大きくなっていった!

 しかしまもなく奴の身体は蝋燭の蝋のように青ざめ透きとおり、
その顔は燃え残りの炎のように青白く、——そして突然消え失せた。



WAKAMATSU Kunimitsu